欧米のまちづくりでは、よくplace-makingという言葉が使われる。文字通り訳せば「場所づくり」ということになるが、たとえば広場をつくったとして、それが誰にも使われなければただの空間であるが、人々が集い交流することが積み重なることによってそこが場所に変わっていく。だから「空間」づくりではなくて、「場所」づくりが重要だというメッセージである。では、空間を場所に変えるものは何か? 私たちはそれこそが固有性であると考えている。言い換えれば、空…[続きを読む]
「固有性まちづくり」について、この度弊所のホームページにその事例を紹介させていただくことなりましたが、その経緯について述べたいと思います。
昨年の春頃、「場所の持つ固有性を魅力としたまちづくり」について研究しようと数人の方が集まり、弊所を事務局として、自主的に研究会を持つことになりました。何回か研究会が進む中で、同テーマでフォーラムを開催することになり、平成24年11月20日にイイノホール・カンファレンスルームにて「固有性まちづくりの時代」と称したフォーラム(弊所主催、国土交通省後援)を開催しました。
当日は、東京工業大学大学院社会理工学研究科の中井検裕教授に「空間と場所の違い、その普遍性と固有性について」と題した基調講演をいただき、その後、中井先生をコーディネーターとして、「東京における固有性まちづくり」というテーマで、東京都住宅供給公社理事長の河島均氏、株式会社日本都市総合研究所顧問の鳥栖那智夫氏、弊所コンサルタント部主幹の櫻田直樹によるトークセッションを行いました。当日は200人近い聴衆者を得て、このテーマの関心の高さを実感いたしました。
その後研究会が進むにつれ、何らかの形でその成果を発表しようということになり、この度の弊所ホームページ掲載に至ったものです。
ホームページ開催にあたっては、まず中井先生に「固有性まちづくりのすすめ」というテーマにより今後の事例掲載に係る趣旨をご紹介をいただき、
その後1ヶ月に1本程度の間隔で事例を紹介する予定です。
掲載予定の執筆者は次の方々です。
・東京藝術大学美術学部建築科 講師 河村茂氏 博士(工学)
・株式会社日本都市総合研究所 顧問 鳥栖那智夫氏
・大成建設株式会社 理事 山口幹幸氏(元東京都)
・日本ビル・メンテナンス株式会社 執行役員事業本部担当 武田彰夫氏(元清水建設)
これらの方々には、固有性を活かしたまちづくりの事例を題材として、まちづくりに深く関わられる実務者の方に「手法」仕組み」「主体」「資源」等、様々な視点からどのようにして魅力ある固有性まちづくりを実現するに至ったのか、その核心について語っていただきます。
このシリーズが、まちづくり関係者の方々にとって、今後のまちづくりに少しでもヒントにつながることを期待しております。
なお、本稿で述べられた意見・見解は筆者個人に属するものであり、弊所の意見・見解を代表するものではありません。
一般財団法人日本不動産研究所 理事・業務部長 小林信夫(本研究会事務局)